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岡山地方裁判所 昭和42年(ワ)94号 判決 1969年2月06日

原告

松井洋子

被告

山崎敏明

ほか三名

主文

被告らは、各自、原告に対し、金二三六万八、一二三円およびこれに対する昭和四一年三月四日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。

原告のその余の請求をいずれも棄却する。

訴訟費用は、被告らの連帯負担とする。

この判決は、第一項にかぎり、仮に執行することができる。

事実

(当事者が求めた裁判)

一、原告

被告らは、連帯して、原告に対し、金六三二万九、二五二円およびこれに対する昭和四一年三月四日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。訴訟費用は被告らの連帯負担とする。

との判決並びに仮執行の宣言。

二、被告ら

原告の請求をいずれも棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

(主張事実)

第一、請求原因

一、昭和四一年三月三日午後九時頃、岡山市国富六七番地先国道二号線路上において、訴外荒木優の運転する普通乗用自動車(甲車)が、同市原尾島方面から国富陸橋方面に向つて、時速約六〇キロメートルで走行し、同所大衆浴場駒湯前の横断歩道にさしかかつた際、折から右横断歩道を東から西へ徒歩で横断していた原告に激突し、原告はその場に転倒し、起き上れないでいるところへ、甲車の直後を同一方向に進行して来た被告山崎の運転する普通貨物自動車(乙車)が、原告の右下腿部を轢過し、ついで乙車の直後を同一方向に進行してきた被告佐々木の運転する普通貨物自動車(丙車)が、更に、同様に原告の右下腿部を轢過し、よつて原告は、骨膜に達する右下腿部挫創、右アキレス腱断裂、右足打撲症、三ケ所骨膜に達する頭部打撲挫創、頭蓋骨々折の疑の傷害を受けた。

二、右傷害は、訴外荒木優、被告山崎および被告佐々木の過失によるものである。

すなわち、本件事故発生現場は、自動車交通頻繁な幹線道路であり、駒湯前の横断歩道は、幅員約三メートルで、太い白線で表示され、白線上には〇、五メートル間隔で白色の硝子或いはプラスチック製の標識が埋め込まれ、夜間にはこれが自動車のライトを反射して輝くようになつているほか、歩道端電柱には横断歩道を示す燈火式標識が取付けられていて、一見して横断歩道の所在が判明する状況である。したがつて同所を通過する運転者は、横断歩道を歩行する通行人があることを予期して、左右前方を注視するは勿論、速度を減じ、いつでも直ちに停車できるよう用意し、横断者を発見したときは一時停車して、通過を待つなど、事故の発生を未然に防止すべきであるのに、訴外荒木はこれを怠り、原告が横断歩道を通行しているのにこれを無視し、漫然時速六〇キロメートルで通行したため、前記のように、自車を原告に激突転倒せしめ、被告山崎並びに被告佐々木も同様、横断歩道にさしかかつた際の注意義務を怠り、また前車との間隔をおかないで進行したため、横断歩道上に倒れている原告の右足を次々に轢過したものである。

三、被告東急運輸株式会社は、被告山崎を従業員として使用する使用者であり、被告山崎が運転していた乙車の所有者である。

被告渡辺は、被告佐々木の使用者であり、被告佐々木が運転していた丙車の所有者である。

四、原告は、前記受傷のため、同日岡山博愛会病院に入院し、同年一〇月二日まで入院治療を受け、一応退院し、同月五日から一一月三一日まで通院し、整形外科手術のため同月三〇日から一二月二七日まで同病院に入院して整形手術を受け、その後は自宅において療養しているが、創傷は全癒しないし、右足関節下に大きな傷痕が残り、将来も消えることがない。

原告が、本件受傷によつて受けた損害は次のとおりである。

(一) 岡山博愛会病院に支払つた入院治療費九六万九五五二円

1 昭和四一年三月三日から一〇月二日までの入院治療費八八万二、五七七円

2 整形のための入院手術費七万七、五四六円

3 通院中の治療費九、四二九円

(二) 入院中の附添費など一三万五、一六五円

1 原告は重態で附添の必要があり、原告の母沢代が昭和四一年三月三日から四月一日まで附添つたので、一日七〇〇円の割合として、合計二万一、〇〇〇円

2 四月二日から六月三〇日まで、中央看護婦家政婦斡旋所の看護婦小橋一子の附添に対するもの、一日分料金八五〇円、食事代一五〇円、斡旋所手数料八五円、八九日分合計九万六、五六五円

3 六月三〇日から一〇月二日まで原告の姉左子、千都子が付添看護したので一日七〇〇円として合計一万七、六〇〇円

(三) 雑費八万六、六〇〇円

1 入院中の衣類購入費一万八、〇〇〇円

2 医師、看護婦に対する謝礼二万円

3 見舞に対する返礼三万円

4 昭和四一年三月三日原告の母沢代が久世町自宅から病院に馳けつけた自動車賃五、〇〇〇円

5 入院中病窒に扇風機、ラジオの取付料一万二、一〇〇円

6 昭和四一年一一月二一日、原告とその親族が、被告らと示談交渉のための集合場所として借受けた旅館の部屋代一、五〇〇円

(四) 減収二〇万円

1 原告は天満屋に勤務しているが、原告の休業中の賞与が支給されず、その損害は一〇万円である。

2 右休業のため、原告が退職時において受領すべき退職金が五万円減額となり、又、昇給時にこの休業が影響をおよばし、これによる減収は五万円である。

(五) 慰藉料四七三万七、九三五円

原告は、昭和一七年四月二〇日生れ、県立津山商業高校を昭和三六年に卒業し、同年四月から岡山市天満屋百貨店営業事務所に入所し、勤務しているもので、受傷当時二四才、本俸二万一、五〇〇円の収入があつたが、受傷により右脚部の通常露出する部分に大きな傷痕を残し、その羞恥は耐えられないものであり、結婚にも多大の障害となり、その悩みは非常に深刻なものであるほか、右足跛行となり、又頭部打撲傷のため、現在でも疲れると頭痛がし、耳鳴がし、足が痛み、寝返えりをすると眼まいがするなどの症状があり、後遺症として将来永く影響することが考えられ、これらと受傷当時の状況、苦痛を考えて慰藉料四七三万七、九三五円を請求する。

(六) 本件訴訟のため、訴訟代理人弁護士に支払つた報酬二〇万円

五、以上のとおりであるから、被告山崎、同佐々木は不法行為者として、被告東急運輸株式会社、同被告渡辺は自動車損害賠償保障法により、或いは使用者として、それぞれ右合計金六三二万九、二五二円とこれに対する不法行為の日の翌日である昭和四一年三月四日から支払ずみまで民法所定年五分の割合による遅延損害金を支払う義務がある。

第二、請求原因に対する被告らの答弁

一、請求原因一の事実中、原告主張の日時に、被告山崎、同佐々木運転の各貨物自動車が、原告主張の地点を通つたことは認めるが、その余の事実は否認する。

二、請求原因二の事実は不知。

三、請求原因三の事実は認める。

四、請求原因四の事実は不知。

(証拠関係)〔略〕

理由

一、被告山崎、同佐々木がそれぞれ運転する普通貨物自動車が、昭和四一年三月三日午後九時頃、岡山市国富六七番地先国道二号線路上を通つたことは当事者間に争いがない。そこで同被告らの運転する各自動車により原告が受傷したものであるかの点について検討するに、〔証拠略〕によれば、次の事実が認められ、証人寺廻和雄の証言、被告山崎、同佐々木各本人尋問の結果中この認定に反する部分は採用できない。

争いのない前記日時場所において、同所公衆浴場駒湯前国道に、ペンキ描き、路面埋込み式標式、並びに歩道端の電柱取付け標識(点燈式)によつて明瞭に表示されている横断歩道を原告が北から南へ歩行横断開始したところ、折から、同所を東から西へむけて通過しようとした、訴外荒木優の運転する普通乗用車、愛知五み四七一〇(甲車)が、原告の後方(北方)を通過できるものと軽信して進行したため、これをみて横断歩道上に立ち止つた原告を避けきれず、乗用車左前部を原告に衝突させ、原告は横断歩道上に頭部を北側に、脚部を路上中央線側に向けて、脚部先端が中央線から約一メートル北側になるような位置に転倒した。

被告山崎は、普通貨物自動車品あ四一三六号(乙車)を運転し、甲車の後方から、二五ないし三〇メートルの間隔をおいて、時速約三〇キロメートルの速度で、これに追従していたが、転倒している原告を発見し、これを右に回避すれば通過できるものと考え道路中央線寄りにハンドルを切つたが、対向車輛があつたため避けきれず、原告の脚部を轢過した。被告佐々木は、普通貨物自動車広一せ二〇―六六号(丙車)を運転して、乙車の後方から、約二〇メートルの間隔をおいて、時速約四〇キロメートルの速度でこれに追従していたが、転倒している原告を約六メートルに接近してようやく発見し、対向車線側に回避しようとしたがおよばず、自車左側後輪で原告の脚部を轢過した。

原告は、右事故により骨膜に達する右下腿挫創、右アキレス腱断裂、右足打撲傷、三ケ所骨膜に達する頭部打撲挫創の傷害を負つた。

右認定の事実によれば、被告山崎は、明瞭に表示された横断歩道に差しかかり、転倒している、原告を発見したのであるから、急制動の措置をとつて、これとの接触を避くべきであるのにその判断を誤り、ハンドルを右に切つて回避通過できるものと考え、道路中央線寄りにハンドルを切つたが、対向車輛のため充分回避し得ず、原告の脚部を轢過したのであるから、原告の受傷について過失のあることが明らかである。

被告佐々木は、同被告運転の丙車で原告の脚部を轢過したことを極力否認するのであるが、前掲各号証の同被告の事故当時の司法警察員に対する供述調書並びに数ケ月後の検察官に対する供述調書には、同被告が轢過した事実を自認する具体的な供述が記載されており、この供述記載と、これら供述調書並びに同被告本人尋問の結果により認められる、左後車輪の縁辺部に血液よう、或いは人脂ようのものが附着していた事実により、同被告の丙車が原告の脚部を轢過したことが認められる。同被告は、本人尋問にいたつて、当時車体に感じたショックは、道路中央線附近の路面の高低差によつたものである旨述べるのであるが、前出各号証によつても、当時現場路面にかかる高低差が存したことを窺うことはできず、又、運転手として常時運転に従事していた被告佐々木が轢過回避の緊張した場面で、通常数多く経験する路面の高低差によるショックと、人体轢過のショックとの判断を誤ることは容易に首肯できないから、事故直後、捜査官に対して述べた具体的供述は、信用性が高いと考えられる。又、同被告は事故後、数回病床の原告を見舞い、又、原告の治療費、附添費を負担する旨書面もつて約定しており、これらの事実も同被告の轢過自認に結びつくものと考えられる。その過失の点についてみるに、前掲証拠のほか、同被告本人尋問の結果によれば、被告佐々木は、事故現場に差しかかつた際、横断歩道は前認定のように明瞭に表示されていたのに、この存在に気付かず、かつ、前照燈を下向きにしていたことや、雨天のため、前方一〇メートル程度しか確認し得ない状況であつたのに、時速約四〇キロメートルで走行し、転倒している原告を六メートルの至近距離に接近して初めて発見し、当初は何か落ちているものと思つて進行したが、頭部がみえて人体であることに気付き、急拠対向車線に回避したが、およばなかつたことが認められるのであつて、原告の轢過個所が右脚膝下部のみであることからみても、いま少し発見が早ければ、運転操作によつて充分轢過を避け得たであろうことが窺われ、轢過が被告佐々木の速度不適当、横断歩道附近の前方不注視の過失によるものであることを認めることができる。

そのほか、被告東急運輸株式会社が右乙車の所有者であり、被告山崎が同会社の被傭者であつたこと、被告渡辺が右丙車の所有者であり、被告佐々木が同被告の被傭者であつたことは、いずれも当事者間に争いのない事実である。以上によれば、被告山崎、同佐々木はいずれも不法行為者として、被告東急運輸株式会社、同渡辺はいずれも自動車損害賠償保障法第三条により運行供用者として、原告が右受傷によつて蒙つた損害を賠償する責に任じなければならない。

二、原告の蒙つた被害について検討する。

(一)  岡山博愛会病院での入院治療費。

〔証拠略〕によれば、原告は右受傷のため昭和四一年三月三日から同年一〇月二日まで岡山博愛会病院に入院して治療を受け、同月五日から二一日までの間実日数五日間通院して治療を受け、その間の入院、治療費など合計八八万二、五七七円を要し、右下腿挫創痕の整形手術のため、同年一一月三〇日から一二月二七日まで同病院に入院して手術を受け、その間の入院、手術費など合計七万七、五四六円を要し、原告はこれを原告の勤務先である天満屋百貨店の任意に加入している健康保険組合を通じ(立替えにより)、或いは自ら支払つたことが認められ、この合計金九六万〇、一二三円は被告山崎、同佐々木の行為と相当因果関係にある損害である。

(二)  入院中の附添費など

原告の入院中、原告の母沢代が昭和四一年三月三日から一ケ月間を、又、同年四月以後相当期間を附添婦小橋一子が原告に附添看護したことは証拠上認めることができるが、附添婦に支払つた費用、沢代に支払うべき相当額についてはこれを認めるに足りる証拠がない、又、原告の姉が附添つたことについては、これを認めるに足りる証拠がなく、なお附添人に支払つた費用の一部は〔証拠略〕によれば、前述の入院費の中に含まれているものである。

(三)  雑費

1  入院中の衣料購入費については、証人松井沢代の証言中には、これに相当額を費した旨の供述があるが具体性を欠き、これをもつて損害を認定するには足りず、ただ、〔証拠略〕によれば、昭和四一年一一月二七日に天満屋でネグリジェを金三、〇〇〇円で購入したことが認められ、これは前認定の原告の入院期間と考え合わせると、原告が入院のためこれを要したことが窺えるのでこの代金三、〇〇〇円は、被告山崎、同佐々木の行為と相当因果関係ある損害である。

2  医師、看護婦に対する謝礼並びに見舞に対する返礼として、原告が支出したために損害を蒙つたとしているものは、通常儀礼の域を出ないものであつて、かかる支出を相当因果関係ある損害として、被告らに賠償せしめることは相当でない。

3  原告の母沢代が事故当日自宅から病院へ馳けつけるに要した自動車賃については〔証拠略〕によれば、原告が受傷して入院し、危篤状態である旨の知らせを受けた原告の母沢代は、自宅のある真庭郡久世町から、中谷タクシーに乗車して前記病院に馳けつけ、そのタクシー代として金五、〇〇〇円を支払つたことが認められ、原告の受傷の程度、受傷の時間などから考えて、母親のかかる行為は通常あり得ることであり、これに要した費用は、直接には母親の出費にかかるものであるが、原告との身分関係や、受傷そのものを損害と考え、その算定手段としてのかかる出費を考えるときは、これを原告の損害として、原告がこれを請求することも許されるものというべく、金五、〇〇〇円は被告山崎、同佐々木の行為と相当因果関係ある損害である。

4  扇風機、ラジオの費用については、〔証拠略〕によれば、これは同証人が自己の出費によつて購入して原告の病室での使用に供したことが認められるが、これが特に原告に必要な事情は明らかでないから、これは、それらの物品の性質上母親たる同証人の原告に対する情愛から買い与えたものというべく、かかる物の購入に要した費用を被告山崎、同佐々木の行為と相当因果関係ある損害ということはできない。

5  旅館の部屋代一、五〇〇円については、原告の親族が被告らと示談交渉の場所として岡山市内の国際観光旅館山長を借り受け、これに金一、五〇〇円を支払つたことが認められるが、かかる場所を借り受ける必要性について、これを窺うに足る証拠がないから、これを原告の蒙つた損害と認めることはできない。

(四)  減収について

〔証拠略〕によれば、原告は天満屋百貨店服飾雑貨課に勤務し、基本給月額一万八、四〇〇円のほか諸手当一、一〇〇円の支給を受けていたものであるが、原告の受傷入院による欠勤のため(昭和四二年四月一六日復職)、昭和四一年九月一三日までの間に支給されるべき給与を合計金六、一〇〇円減額支給され、同年九月一四日から昭和四二年四月一五日までの間休職扱いとされて、その間に支給されるべき金一六万一、五〇〇円の支給を受け得ず、そのほか昭和四一年六月、一二月、昭和四二年六月にそれぞれ支給さるべき賞与を欠勤、休職のため合計金一〇万七、三〇〇円を減額されて支給されたことが認められるので、これは、受傷により原告が得べかりし利益を喪つたものであるから、これらの合計金二七万四、九〇〇円は、被告山崎、同佐々木の行為と相当因果関係ある損害である。原告はこの内金二〇万円を請求している。

そのほか、原告の休職が将来の退職金の額や昇進等に相当影響することが認められるが、その数額を認めるに足る証拠はない。

(五)  慰藉料

原告受傷時の状況、受傷の程度、入院期間等前認定の事実のほか、〔証拠略〕によれば、次の事実が認められる。

原告は二回にわたる入院により治療、整形手術を受けたが、右足膝下内側から後側にかけて、縦に長さおよそ三〇センチメートルにわたる極めて明瞭なみにくい創痕を残し、この創痕はこれ以上消失する見込みがなく、又、足首部の腫れのため靴を履くことができず、右足跛行となり、創痕部の痛みが残り、今後も季節によつては疼痛の生ずることが予測され、頭部打撲のため頭重感、眩暈が持続しており、原告は昭和四二年四月一六日から復職しているものの、脚部の後遺症、頭部変調は今後の原告の労働内容に或る程度の障害があることも予想される。

右事実のほか、原告が昭和一七年生れで未婚であること、脚部の通常露出する部分に存する右のような大きな明瞭な創痕や跛行は、未婚女性の通常の婚姻に障害となることが予想されることなどを勘案すると、原告が受傷により相当の精神的苦痛を受けたことは容易に察せられるところであつて、諸般の事情を考慮すると、原告の精神的損害を慰藉するには金一〇〇万円をもつてするのが相当である。

(六)  弁護士報酬

〔証拠略〕によれば、原告は、本件訴訟を弁護士森末繁雄に委任し、その弁護士報酬として金三〇万円を二回に分けて支払つたことが認められる。原告は、この内金二〇万円を損害として請求しているが、被告山崎、同佐々木の不法行為の態様、被告らの支払拒否の態度等からみて、弁護士に依頼する本件訴訟の提起は原告のやむを得ない措置であると認められるから、その弁護士報酬として支払つた支出は原告の蒙つた損害というべく、金二〇万円は日本弁護士連合会会規による弁護士報酬基準額に照らしても相当であるから、金二〇万円は相当因果関係ある損害である。

三、以上のとおりであるから、被告らは、各自、原告に対し右損害額の合計金二三六万八、一二三円およびこれに対する不法行為のときから支払ずみまで民法所定年五分の割合による遅延損害金を支払う義務があるから、原告の請求は右の限度において理由あるものとして認容し、その余を失当として棄却すべく、訴訟費用の負担について民事訴訟法第九二条但書、第九三条一項但書を、仮執行の宣言について同法一九六条一項を各適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 田中昌弘)

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